日本株の割安銘柄を見つけるためのファンダメンタル分析5選

日本株の中には、実力に対して株価が低く評価されている「割安銘柄」が少なくありません。
しかし、その見極めには確かな基準と分析力が求められます。
ここでは、投資初心者から中級者まで活用できる、5つのファンダメンタル分析指標を紹介します。
1.PER(株価収益率)で利益に対する割安度を見る
PERは「株価 ÷ 1株あたり利益(EPS)」で求められます。
同業他社と比較してPERが低い場合、株価が利益に対して割安である可能性があります。
ただし、業績悪化による一時的な低PERには注意が必要です。
安定成長株では15倍以下を一つの目安とする投資家が多いです。
2.PBR(株価純資産倍率)で資産価値を評価する
PBRは「株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)」で算出します。
1倍を下回る企業は、市場が企業の保有資産を過小評価している可能性があります。
資産に比べて株価が安い企業を探す際には、有効な指標です。
ただし、将来性のない企業は割安でも株価が上がらないこともあります。
3.ROE(自己資本利益率)で収益性を測る
ROEは「当期純利益 ÷ 自己資本」で計算します。
企業が株主資本をどれだけ効率的に活用して利益を生み出しているかを示します。
一般的に10%以上あれば優良とされ、長期的な成長が期待できます。
高ROEかつ低PBRの組み合わせは、隠れた優良割安株を見つけるヒントになります。
4.営業利益率で本業の強さを確認する
営業利益率は「営業利益 ÷ 売上高」で算出されます。
本業から安定して利益を出せている企業は、景気変動にも強い傾向があります。
同業他社と比べて営業利益率が高ければ、競争優位性がある証拠です。
割安な株価で高利益率企業を見つけられれば、リターンが期待できます。
5.自己資本比率で財務の健全性を判断する
自己資本比率は「自己資本 ÷ 総資産」で求められます。
50%以上を維持している企業は財務基盤が安定しており、倒産リスクも低くなります。
割安でありながら財務健全な企業は、長期投資に適しています。
財務面を確認せずに「安いから買う」と判断するのは危険です。
まとめの一言
これら5つの指標を組み合わせて分析することで、真の割安株を発掘できます。
数値だけでなく、業界動向や企業戦略も含めた総合的な判断が重要です。
参照元:参照元:経済産業省のWEBサイト (METI/経済産業省)
西東京カブストーリー
1.PERの意味を知る朝
東京・丸の内のカフェで、投資歴3年の佐藤さんはノートパソコンを開いていた。
コーヒーの香りが立ち込める中、彼の画面には証券会社のサイトが並ぶ。
隣の席には、証券アナリストの高橋さんが座っている。
「佐藤さん、今日のテーマは何ですか?」と高橋さんが問いかける。
佐藤さんは少し考えてから答えた。
「割安株を探したいんです。PERってよく聞くけど、いまいちピンときてなくて。」
高橋さんはうなずきながらスマホでチャートを見せた。
「PERは株価が利益に対してどれくらい割高かを見る指標ですね。
たとえばPERが10倍なら、10年分の利益で株価を回収できるイメージです。」
佐藤さんはメモを取りながらつぶやいた。
「業界によって基準が違うって聞きました。」
「その通りです」と高橋さん。
「例えばメーカーは15倍前後が平均。一方、グロース企業なら30倍でも妥当です。
ポイントは、単純比較ではなく“同業他社との比較”です。」
佐藤さんは静かに頷き、カフェの窓の向こうを見つめた。
証券取引所のビルが朝の光を反射していた。
2.PBRが示す資産の価値
数日後、佐藤さんは再び高橋さんと出会った。
場所は兜町の小さなバー「カブガクラブ」。
店主の鈴木さんも株好きで、常連たちがチャート談義に花を咲かせていた。
カウンターに腰を下ろすと、高橋さんが言った。
「今日はPBRの話をしましょう。これは、会社の純資産と株価の関係を見る指標です。」
「純資産って、会社が持っている現金とか不動産のことですよね?」と佐藤さん。
「そうです。PBRが1倍を下回っているということは、
いまの株価が会社の清算価値より安い可能性があるということです。」
すると、横で聞いていた鈴木さんが笑いながら言った。
「昔、1倍割れの銘柄を仕込んで5年持ってたら、3倍になったことがあるよ。」
「ええ、それは素晴らしい例ですね」と高橋さんが笑顔を返した。
「ただし、低PBRが必ずしもお得とは限りません。
資産は多くても稼ぐ力が弱い会社は、株価が上がらないままになることもあります。」
佐藤さんはその言葉を聞き、指標の裏に潜む“理由”を考え始めた。
3.ROEが語る経営者の腕
翌週の夜、佐藤さんは高橋さんを誘い、神田の居酒屋で熱燗を前にした。
「高橋さん、ROEってよく聞くけど、どう活かせばいいんですか?」
高橋さんは湯気の立つお猪口を見つめながら答えた。
「ROEは、株主の資本を使ってどれだけ利益を生み出したかを表します。
企業の経営効率、つまり経営者の腕前を知るには欠かせません。」
「じゃあ、高い方がいいんですね?」
「一概には言えませんが、基本的にはそうです。
10%以上が安定的に続く企業は、優良企業の証とされています。
それに高ROE企業は資本政策もうまく、株主還元にも積極的です。」
佐藤さんは、自分のポートフォリオにある銘柄を思い浮かべた。
「僕の持ってるA社はROEが4%くらいでしたね…。まだ伸びしろがあるってことか。」
高橋さんは笑った。
「そうです。ROEが上昇傾向なら、経営改善が進んでいるサインです。
低ROEでも、成長戦略を持つ企業は長期的に化けます。」
店を出るころ、冬の風が頬をかすめた。
佐藤さんの頭の中で、数字が少しずつイメージに変わっていった。
4.営業利益率が示す企業の本気
ある土曜日、佐藤さんは高橋さんとともに、都内で開かれた個人投資家向けセミナーに参加した。
テーマは「営業利益率から読み解く企業の強さ」。
壇上で講演していたのは、経営コンサルの田中さんだった。
スライドには業種別の利益率が並ぶ。
「この数字は、その企業が“本業”でどれだけ稼げているかを示しています。」
聴衆がメモを取りながらうなずく中、田中さんは続けた。
「製造業なら5%、小売業なら3%前後が平均です。
それを上回る企業は、競争優位性を持っているといえます。」
講演の後、会場のロビーで佐藤さんがつぶやいた。
「営業利益率が安定して高い企業って、やっぱり強いんですね。」
高橋さんはうなずいた。
「その通り。コスト構造がしっかりしていて、値下げ競争にも巻き込まれにくい。
割安株を探すなら、こうした企業をスクリーニングするのが鉄則です。」
佐藤さんは帰りの電車の中で、自分のウォッチリストを見直した。
利益率の低い銘柄には、もう一つ理由があることに気づいた。
5.自己資本比率が教える安心感
冬の曇った空の下、佐藤さんは月島の小さな事務所で高橋さんと再会した。
ホワイトボードには「財務健全性」と大きく書かれている。
「最後の指標は自己資本比率です」と高橋さんが口を開いた。
「会社の資産のうち、どれだけが自前の資本かを示します。
簡単に言うと、借金に頼りすぎない企業ほど安定するんです。」
「どのくらいあれば安心なんですか?」
「目安としては50%以上。
この数字が高い企業は、景気悪化のときでも倒れにくい。
特に中小型株で自己資本比率が高い会社は、投資家から再評価されやすいですね。」
佐藤さんはノートにメモをとりながら、小さくうなずいた。
「なるほど。高ROEで、利益率も高く、自己資本比率が高い企業…。
そういう会社って、まさに理想ですよね。」
「そうです。そういう銘柄は数こそ少ないですが、見つければ宝です。
地味でも、堅実に利益を積み上げる会社が最終的に勝つんですよ。」
その言葉に佐藤さんは深くうなずいた。
東京の街に夕暮れが迫る。
ビルの灯りがともり始め、証券会社の画面にも数字が踊る。
彼は心の中で決意した。
もう雰囲気で株を選ぶのはやめよう。
数字の裏にある「企業の物語」を読み解こう。
それが、真の割安株を見つける第一歩になると感じていた。
初心者でも分かる!日本株の“隠れ優良・割安株”を見つけるためのQ&Aガイド
日本株の中には、実力があるのに株価が低く評価されている企業が多くあります。
こうした“隠れ優良株”を見つけるには、5つの基本指標を理解することが重要です。
この記事では、初心者でも迷わず読めるようにQ&A形式でポイントを整理します。
投資判断にすぐ使える具体例も交えて解説します。
Q1. 割安株ってそもそもどういう株のこと?
A. 割安株とは「企業価値に対して株価が安い株」のことです。
単に株価が低いだけでは割安とは言えません。
利益や資産、収益性などを総合的に見て、
“本来の価値より安く放置されている株”を指します。
こうした株は、業績改善や市場の再評価で株価が上がる可能性があります。
Q2. PERが低いと割安って本当?どれくらいが目安?
A. PERは「株価 ÷ 1株利益」で、利益に対する株価の割安度を示します。
同業他社よりPERが低い企業は割安の可能性があります。
安定成長企業なら「PER15倍以下」を目安にする投資家が多いです。
ただし、業績悪化で利益が落ちてPERが低く見えるケースもあります。
必ず業績の推移も確認しましょう。
Q3. PBRが1倍以下なら買いって聞くけど本当?
A. PBRは「株価 ÷ 1株純資産」で、資産価値に対する株価の安さを示します。
1倍を下回る企業は、保有資産より株価が安い可能性があります。
実際に、PBR1倍割れから数年で株価が2〜3倍になった例もあります。
ただし、資産は多くても“稼ぐ力が弱い企業”は株価が上がりにくいです。
収益性とセットで判断することが大切です。
Q4. ROEが高い企業はなぜ評価されるの?
A. ROEは「株主資本を使ってどれだけ利益を生んだか」を示す指標です。
経営者の腕前を測る重要な数字で、10%以上が優良の目安です。
高ROE企業は、資本の使い方が上手く、株主還元にも積極的な傾向があります。
特に「ROEが高い × PBRが低い」企業は、隠れた優良株の候補になります。
Q5. 営業利益率を見ると何が分かるの?
A. 営業利益率は「本業の強さ」を示す数字です。
製造業なら5%、小売業なら3%が平均とされています。
これを上回る企業は、競争力が高く、景気変動にも強い傾向があります。
割安株の中でも、営業利益率が高い企業は再評価されやすいです。
Q6. 自己資本比率はなぜ重要?どれくらいあれば安心?
A. 自己資本比率は「借金に頼らず経営できているか」を示します。
50%以上あれば財務が安定していると判断されます。
財務が強い企業は、不況でも倒れにくく、長期投資に向いています。
特に中小型株では、自己資本比率が高い企業が見直されるケースが多いです。
Q7. 5つの指標はどう組み合わせて使えばいい?
A. 1つの指標だけで判断するのは危険です。
以下のように組み合わせると、優良な割安株を見つけやすくなります。
- PER:利益に対して株価が安いか
- PBR:資産に対して株価が安いか
- ROE:経営効率が高いか
- 営業利益率:本業が強いか
- 自己資本比率:財務が健全か
これらがバランスよく高い企業は、長期で成長しやすい傾向があります。
数字の裏にある「企業の物語」も合わせて読み解くことが重要です。
まとめ
PER(株価収益率)
企業の利益に対して株価が割安かを判断する指標。
同業他社との比較が重要で、低いからお得とは限らない。
PBR(株価純資産倍率)
企業の資産価値に対する株価の割安度を見る指標。
1倍を下回る企業は資産に比べて株価が低い可能性がある。
ROE(自己資本利益率)
株主資本をどれだけ効率的に利益へ変えているかを示す。
10%以上が目安で、経営力や株主還元姿勢を読む材料になる。
営業利益率
本業でどれだけ利益を出しているかを測る指標。
業種平均を上回る企業は競争優位性を持ち、成長が期待できる。
自己資本比率
財務の安定性を示す数字で、50%以上が安心ライン。
借入依存度が低く、景気変動に強い企業を見極められる。
総合判断
複数の指標を組み合わせて総合的に評価することが鍵。
数字の裏にある企業の物語や経営姿勢まで見抜く目が大切。
割安株は「安い株」ではなく、「価値が見直される株」である。

