グロース投資
株式投資というと、安く買って高く売ることで利益を得るというイメージが強いかもしれません。しかし、株式投資には様々な手法があり、その中でもグロース投資というものがあります。グロース投資とは、将来的に大きく成長すると期待される企業に投資することで、株価の上昇による利益を狙う方法です。この記事では、グロース投資のメリットやデメリット、選定のコツなどを解説します。
グロース投資のメリット
グロース投資のメリットは、以下のような点が挙げられます。
大きな値上がりが期待できる
グロース投資では、成長性の高い企業に投資するため、株価が大きく上昇する可能性があります。例えば、北米のグロース銘柄に投資するいくつかの投資信託を見てみると、フェイスブック社、アマゾン社、テスラ社など成長著しいことでお馴染みの会社が投資先として組み入れられています。これらの企業は、過去数年間で株価が数倍になることもありました。もちろん、株価が上がるとは限りませんが、グロース投資ではそのような可能性を追求するのです。
長期的な視点で投資できる
グロース投資では、企業の将来の成長性を重視するため、短期的な株価の動きに左右されにくいです。企業の業績や戦略、市場の動向などを分析し、長期的な視点で投資判断を行います。そのため、グロース投資は、株式投資の中でも比較的落ち着いた心理状態で取り組めると言えます。
グロース投資のデメリット
グロース投資のデメリットは、以下のような点が挙げられます。
無配当または配当が低い
グロース投資では、成長性の高い企業に投資するため、配当金が期待できません。配当金とは、企業が利益を出した際に株主に還元する金額のことです。グロース企業は、利益を配当に回すよりも、事業に再投資した方が将来的には株主に報いることができると考えるため、無配当または配当が低い傾向にあります。そのため、グロース投資では、配当金による収入は期待できません。
株価が大幅に下がる可能性がある
グロース投資では、株価が大きく上昇する可能性がありますが、逆に大きく下落する可能性もあります。グロース企業は、市場からの期待が高いため、株価が高くなりがちです。しかし、その期待に応えられない場合や、競合他社に追い抜かれる場合など、株価が急落するリスクもあります。そのため、グロース投資では、株価の変動に強いメンタルが必要です。
グロース投資の銘柄の選び方
グロース投資をするには、どのように銘柄を選べばいいのでしょうか?ここでは、グロース投資の銘柄の選び方について、いくつかのポイントを紹介します。
売上高や利益の成長率をチェックする
グロース投資では、企業の成長性を評価するため、売上高や利益の成長率をチェックすることが重要です。売上高や利益の成長率とは、前年度と比較して、売上高や利益がどれだけ増加したかを示す指標です。一般的には、売上高や利益の成長率が高いほど、企業の成長性が高いと言えます。売上高や利益の成長率は、企業の決算短信や有価証券報告書などで確認できます。
PERやPBRなどの株価指標を参考にする
グロース投資では、企業の成長性だけでなく、株価の割安さや割高さも考慮することが必要です。株価の割安さや割高さを判断するためには、PERやPBRなどの株価指標を参考にすることができます。PERとは、株価収益率のことで、「株価÷1株あたりの利益」で算出されます。PBRとは、株価純資産倍率のことで、「株価÷1株あたりの純資産」で算出されます。一般的には、PERやPBRが低いほど、株価が割安であると言えます。しかし、グロース企業は、成長性や将来性に対する評価が高いことから、PERやPBRが市場平均よりも高い傾向にあります。そのため、グロース投資では、PERやPBRだけでなく、他の指標や要因も総合的に判断することが必要です。
業界や市場の動向を分析する
グロース投資では、企業の成長性を評価するために、業界や市場の動向を分析することも重要です。業界や市場の動向とは、需要の高まりや低下、競争環境の変化、技術革新や規制の影響など、企業の業績に影響を与える要因のことです。業界や市場の動向を分析することで、企業の強みや弱み、機会や脅威を把握することができます。業界や市場の動向は、経済ニュースやレポート、分析サイトなどで確認できます。
グロース投資の注意点
グロース投資をする際には、以下のような注意点を念頭に置くことが必要です。
グロース企業の評価は難しい
グロース企業は、将来の成長性や将来性に対する評価が高いことから、株価が高くなりがちです。しかし、その評価は、市場の状況や情報の変化によって大きく変動する可能性があります。また、グロース企業は、業績や事業の安定性が低いことも多く、予想外の悪いニュースが発生することもあります。そのため、グロース企業の評価は、非常に難しいと言えます。グロース投資をする場合は、常に最新の情報を入手し、自分の判断基準を持つことが重要です。
グロース投資はリスクが高い
グロース投資では、株価が大きく上昇する可能性がありますが、逆に大きく下落する可能性もあります。グロース企業は、市場からの期待が高いため、株価が高くなりがちですが、その期待に応えられない場合や、競合他社に追い抜かれる場合など、株価が急落するリスクもあります。また、グロース企業は、業界や市場の動向に敏感で、経済の変化や規制の影響などによって、株価が大きく影響を受けることもあります。そのため、グロース投資は、リスクが高いと言えます。グロース投資をする場合は、自分のリスク許容度や資金管理をしっかりと考えることが必要です。
日本株のグロース銘柄の例
日本株の中にも、グロース投資に適した銘柄は存在します。ここでは、日本株のグロース銘柄の例として、いくつかの企業を紹介します。
メルカリ社
メルカリ社は、日本最大のフリーマーケットアプリを運営する企業です。メルカリ社は、ユーザー同士が不要なものを売買できるサービスを提供し、日本のみならず、アメリカやイギリスなどの海外市場にも展開しています。メルカリ社は、2023年3月期に初めて営業利益を黒字化し、売上高も前年比で約40%増加しました。メルカリ社は、今後も国内外でのユーザー数や取引量の拡大、新規事業の開発などによって、成長を続けると期待されています。
サイバーエージェント社
サイバーエージェント社は、インターネット広告やゲーム、動画配信などの事業を展開する企業です。サイバーエージェント社は、スマートフォン向けのゲームや動画配信サービスが好調で、2023年9月期には売上高と営業利益がともに過去最高を更新しました。サイバーエージェント社は、今後もゲームや動画配信の分野での新作の投入や海外展開、人工知能やブロックチェーンなどの新技術の活用などによって、成長を維持すると見込まれています。
ファーストリテイリング社
ファーストリテイリング社は、ユニクロやGUなどのアパレルブランドを運営する企業です。ファーストリテイリング社は、日本のみならず、アジアやヨーロッパ、アメリカなどの海外市場での店舗展開やオンライン販売を強化しています。ファーストリテイリング社は、2023年8月期には売上高と営業利益がともに過去最高を更新し、世界最大のアパレル企業になることを目指しています。ファーストリテイリング社は、今後もユニクロやGUのブランド力や商品力、コスト競争力などを活かして、成長を推進すると予想されています。
まとめ
グロース投資とは、将来的に大きく成長すると期待される企業に投資することで、株価の上昇による利益を狙う方法です。グロース投資には、大きな値上がりが期待できる、長期的な視点で投資できるなどのメリットがありますが、無配当または配当が低い、株価が大幅に下がる可能性があるなどのデメリットもあります。グロース投資をする際には、売上高や利益の成長率、PERやPBRなどの株価指標、業界や市場の動向などを分析し、銘柄を選ぶことが必要です。日本株の中にも、グロース投資に適した銘柄は存在します。グロース投資は、リスクが高い投資手法ですが、自分の判断基準やリスク許容度を持ち、資金管理をしっかりと行うことで、成功する可能性があります。